もうすぐ春がくる

10年前に両親が亡くなってからというもの、自分はよくわからない道を歩いてきたように思います。

誰もが頷くような「幸せになれる道」を敢えて選ばず、何だかわからないけど苦労を背負い込むことばかり選んできたような。その根底にあるのは、親が元気なうちに、親の望むことを何ひとつ叶えてあげられなかったという罪悪感。それも、結構根が深くて、太い。

罪悪感を癒やす（と本人が信じている）簡単なことは、自分を罰するということ。自分がつらい思いをすると、自分はつらいけど、今までの罪を償っているような気になって、つらいと同時に安心、という複雑な心境になるのです。だから、他人から見ると「何でそんなことを・・・」「どうして敢えて苦労を・・・」ということばかり選んで背負いこみ、自分にプレッシャーを与えても、本人にとっては整合性が取れているので何の問題もありません。ただし、一定期間それを繰り返すと、必ずどこかにひずみが出てきます。簡単に言うと幸せじゃないのです。

罪を償ってる間は罪悪感を感じないですむから、苦しくてもつらくても結構耐えられたりします。なので精神的には安心だし安定しています。でも幸せかと訊かれればそんなことはありません。

周りの人から罪悪感を持つ必要なんてないといくら言われても、本人がそれを受け入れられないとダメなんです。私はそれを受け入れる努力を怠ってきたと思います。親が亡くなってからすぐにセラピストに会うとか、自分の感情を吐き出す場所を持つとか、そういうことをすればよかったのでしょうが、仕事が忙しいのを理由に、「大丈夫大丈夫」と自分をごまかし、自分に嘘をつき続けてあっという間に10年。実際にやったことはないけど、罪滅ぼしに自傷行為を繰り返してきたようなものです。痛いです。

10年経って今まで自分がやってきたことの背景にあるものに気付きました。罪悪感のせいで今までこんな風に生きてきたんだ、と思うとすべてが腑に落ちました。そしたらすごく納得できました。親が亡くなったのは私のせいじゃないし、私は彼らを不幸になんてしてなかった。時間がかかっちゃったけど、気付けてよかったです。今後は「苦労しそうだから」というゆがんだ理由でものを選ばなくなると思います。ちょっとのんびりしよう。

誰でもいろいろなものを抱えて生きていますが、どうかみんなが幸せになれますように。